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HEART&SMILE 輝くココロの秘訣

HEART&SMILE 輝くココロの秘訣

今月のゲストは福田 正博さん

今月のゲストは福田 正博さん

撮影/西田航 取材・文/水野光博 編集/仲田舞衣
衣装提供/PUMA ヘアメイク/釣谷ゆうき

Profile

photo
福田 正博(ふくだ まさひろ)
1966年、神奈川県出身。1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。1995年には日本人初の
Jリーグ得点王に輝く。日本代表としても活躍し、“ドーハの悲劇”と呼ばれた1993年のワールドカップアジア地区最終予選を経験。 2002年に現役を引退。引退後はサッカーの普及活動に尽力し、サッカー解説者やサッカーコメンテーターとしても活動。また現在、埼玉スタジアム2002サッカースクールのスクール長を務める。
 

現役時代はサポーターから“ミスター・レッズ”と呼ばれ愛された福田正博さん。発足直後のJリーグや当時のサッカー日本代表を牽引し、引退した現在はテレビ解説やコメンテーター、指導者として活躍。今なおエネルギッシュに走り続ける福田さんの、ココロとからだの健康法について伺いました。

――体型が現役時代と変わらないように見えますが、引退から16年、体型維持のために心がけていることはありますか?

福田:時々、「変わりませんね」と言われるんですが、見えない部分は年相応になってきています(笑)。ただ、テレビの仕事をさせていただいているので、あまり太ってしまうと見栄えも良くないでしょうし、何より子どもに言われるんです。「太らないでね」と。大学生、高校生、中学生の3姉妹なんですが、子どもに言われると父親として、やはり気にせずにはいられませんからね。適度な監視と言いますか、体型の変化がこのくらいで済んでいるのは、テレビの仕事と娘たちのおかげかなと(笑)。

――体重や体型、目安にしている数値のようなものはありますか?

福田:ここ5年はスーツのサイズを変えないようにしています。サイズを一度上げてしまうと、ドンドン大きくなっていってしまいそうなので。ベストもずっと同じサイズのタイトなものを着用しているので、少しでも太るときつく感じるんです。ベストの着心地をバロメーターにしていますね。

――現在は、テレビの解説の仕事など、早朝や深夜と、かなり不規則な生活で体調管理が難しいのでは?

福田:現役時代、何十年と規則正しい生活をしていたので、確かに引退後1、2年は新しい生活スタイルに戸惑いましたね。ようやくここ数年で、不規則な生活に慣れ始めた気がします。以前は不規則な生活にストレスを感じることもあったんですが、今は日々の生活にストレスもなくなりました。

――ストレス発散のために行っていることなどはありますか?

photo1福田:引退から2年くらいしてゴルフを始めましたが、今でもいいストレス発散になっています。ゴルフ中はカートを使わずコースを歩きますが、朝早く緑の上を歩くだけで気持ちが良い。好きな仲間と会話をしながらプレーできるのもゴルフの楽しさのひとつで、心にも身体にも良い効果があると実感します。オフの日でなくても、夕方からの仕事の日なども、朝、ゴルフに行ってから仕事に向かうこともあります。ただ、一時期スコアを伸ばすことに躍起になっていた時期もありましたが、僕の性格上、こだわるととことん突き詰めたくなってしまうので、それでは息抜きではなくなってしまう。今は、ゴルフは心と身体のリフレッシュのためと割り切って、成績よりも楽しくプレーすることを心がけています。
あとは昨年、犬を飼い始めたこともストレス発散になっていますね。今までも家の近くの公園を走っていましたが、ひとりだとどうしても億劫になってしまう。しかし、愛犬の散歩が動機になって、散歩がてら一緒に公園に行き、楽しみながら走ることができます。

――ゴルフも愛犬の散歩も“楽しむ”ということがキーワードなんですね。

福田:そうですね。楽しいと感じることが、何をするにも大切だと思います。心にも身体にもゆとりが必要で、全てをキッチリでは疲れてしまう。サッカーの解説の仕事をして家に帰ると、夜遅くなることがあります。1試合解説をすると、たくさん話をするので頭が疲れて甘いものが欲しくなるんです。それでも夜遅くに甘いものを摂るのは太りますから、昔は我慢していました。
しかし、それではストレスが溜まります。僕は昔からお酒はあまり得意ではなく、甘いものが大好きなこともあります。ですから、ストレスとわずかな糖分では、どちらが身体にいいのかと秤に乗せ、今は遅い時間だったとしても、どうしても甘いものを食べたいと感じた時は、家に常備しているカカオ分が多いチョコレートを少量、摂るようにしています。例外を作らず、全てをきっちり決めるよりも、「ここだけは許そう」という逃げ場を作っておいたほうが、心にも身体にもプラスだと思います。
僕は現役時代、すべてにおいてキッチリとコントロールしたいとストイックになっていましたが、結果、息が詰まってしまうことも多々ありました。そもそも、サッカーという競技は、「ゴールの半分は運」と言われています。思い描いたように入るゴールは半分、あとはアクシデントだと。チームメイトもいれば、対戦相手、レフェリーもいる。自分ではコントロールできない部分が多いわけです。今、深夜にチョコレートを食べる心のゆとりが、現役時代の僕にあれば、もう少し良い成績を残していたかもしれませんね(笑)。

――福田さんは、現役時代はストイックで有名でしたね。

photo2福田:真夏の試合中でも体を冷やさないように熱い飲み物を飲んだり、深い睡眠のために遠征先のホテルでは、タオルをデジタル時計に掛け光を遮り、部屋を真っ暗にして寝たりもしていましたね。ストイックという言葉すらなかった時代ですが、よく言えば繊細、悪く言えば神経質だったと思います。
さらに、僕の現役時代はスポーツの常識が一変した時代でもありました。Jリーグ発足直前くらいまでは、「練習中に水を飲むな!」と言われていたのが、「水分補給はこまめに」と真逆な事が言われ始め、90年代に入りスポーツ栄養学も導入されるようになりました。選手が昼ごはんにラーメンとチャーハンなどを食べていると、「炭水化物と炭水化物では栄養のバランスが悪い」と言われるようになったわけです。
僕は上手くなりたい、強くなりたいという気持ちが強かったので、良いと言われたものは、すぐにでも取り入れるタイプでした。外食するにしても必ずサラダを追加で頼んだり、「ネバネバしたものが体にいい」と言われれば、納豆やオクラを多く食べたりしていましたね。

――今までの常識がひっくり返った時代だったんですね。

福田:「トレーニング終わって30分以内に栄養を補給すると回復が早くなる」など、いろいろなことが科学的にわかり始めましからね。さらに2000年前後になると、正しく栄養を摂るだけではなく、「正しく、“楽しく”栄養を摂ることが大切」と言われ始めました。「昨日は肉を摂ったから、今日は魚にしよう。あれも、これも身体のために食べなければ……」と摂っていくと、栄養としては正しくはあっても、義務的になり食事がノルマのようになってしまい、肝心の食事が楽しくありません。必然的に吸収の効率が悪くなります。
栄養について知らなすぎることは問題ですが、知識がありすぎるがゆえに陥りがちな問題もあるわけです。やはり食事の目的は「バランスよく食べること」ではなく、「栄養をバランスよく“吸収すること”」です。正しく栄養を摂ることが、方法ではなく目的になってしまってはダメ。
効率良く栄養を吸収するためには、楽しく食事をするのが大前提なんです。かく言う僕も独身の時は、その傾向が強かったのが正直なところです。結婚してからは、そういうことは一切考えないで、妻がそういった部分を担当してくれました。僕は出てきたものを、満遍なく食べれば自然とバランスよく栄養が摂れるような食事になっていたんです。僕は食が細いので、特に夏の食事には、妻は苦労したと思います。「食欲がないなぁ」と思っていると、妻は僕の好物の生姜焼きをよく作ってくれました。また、今思えば、お吸い物にはいつも具をたくさん入れてくれましたね。生野菜では、なかなか量が摂れないので、温野菜にして自然にたくさん摂れるようにしてくれていたんです。
楽しく食べる必要性は、アスリートのみならず、成長期の子どもにも言えます。僕はサッカースクールの指導者もしていますが、食事に関して親御さんに言うのは「極力、ひとりで食べさせないでください」ということです。食事が楽しくないと、急いでしまい早食いになります。それでは効率良く栄養が摂れません。何人かで会話をしながら楽しく食べる。食べるものも大事ですが、食べる環境もすごく大事なんです。毎日ということは難しくても、週に何度かは家族揃って顔を合わせ、ゆっくり会話をしながら食事を楽しむようにしたいですね。

――正しいだけでなく、楽しく食事を摂ることが大事なんですね。

photo3福田:ただ、例えば一人暮らしの方など、朝は忙しいですよね。食事だけでなく、着る洋服も事前に決めておいたほうが楽です。「朝はこれを食べる」というルーティーンが決まっていれば落ち着くし、生活にリズムが生まれます。「あれを食べなければ」「これを食べなければ」と毎朝考えるのはストレスになりますし、楽しく誰と何を食べるかは昼食や晩御飯のタイミングで考えればいい。
とはいえ、僕は健康に関しては前述したように妻に一任してきました。食事だけでなく、深い睡眠が取れるようにと、子どもが生まれてからは寝室を別にしてくれるなどの気も使ってくれました。そんな妻は、薄々気づいていたのかもしれませんが、現役を引退するかどうかの相談を、僕はしませんでした。
しかし、現役最後の試合を終え家に帰ると机に手紙が置いてあり、「楽しませてくれてありがとう」と書いてありました。3人目がお腹にいる時期で、引退後の生活がどうなるか不安もあったでしょう。しかし、そんな不安を彼女は僕に一切見せませんでした。食事や睡眠に関して、僕がストレスを感じなかった分、妻には大きなストレスや苦労だったでしょう。試合の勝敗やパフォーマンスによっても気を使ったことでしょうし、遠征も多く寂しい思いもさせました。アスリートの妻になったばっかりに、辛いことばっかりだったのではないかと、僕は思っていたんです。それが、「楽しませてくれてありがとう」の一言で救われた気がしました。ここまで話して気づいたのですが、僕の健康法は“妻”という一言で片付いてしまいそうですね(笑)。

後半につづく

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