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知っておきたい介護食のこと

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栄養と食事

高齢者、特に70歳を過ぎると、低栄養(栄養不足)が原因で起こる筋肉や体力の衰え、やせ過ぎの心配が増えてきます。食事のバランスと質を考えて食生活を見直し、健康的な生活を送りましょう。現在、病気等で医師や栄養士の食事指導を受けている人は、指導の元に食事を摂りましょう。

バランスと質の良い食事

高齢者の食事で考えなければならないのは、
以下のようなことがあります。

たんぱく質をしっかり摂る

魚、肉、卵、大豆、大豆製品に含まれるたんぱく質は体(骨や筋肉)を作リ、エネルギー源となり、唯一、若い頃と同じだけの量を摂取しなければならない栄養素。生命維持に欠かせません。

食品数を増やす

副菜で工夫。カルシウム(牛乳、小魚)、鉄(きのこ、海草類)、ビタミンA(にんじん、かぼちゃ)・B1(肉、穀類)等を献立の中に取入れましょう。

1日3回、規則正しい食事

食事は規則正しく食べることが基本。

  • 規則正しく食べると生体機能のリズムが整えられる
  • 朝食(たんぱく源を含む)は交感神経を刺激し、元気に活動が始められる
  • 昼ご飯を重く、夜は軽めにすると副交感神経が活動しやすくなる
  • 一日3回の食事の時間は、食生活を見直すチャンスになる

やせ過ぎは危険信号「低栄養」

今は元気にしていても、高齢になると、
低栄養から来るやせ過ぎが心配されます。
高齢になってからのやせは
どうしていけないのでしょうか。

  • たんぱく質の欠乏により筋肉の衰えが早まる
  • カロリー不足が原因のエネルギー不足による活動低下
  • 栄養バランスの崩れによる免疫力の低下
  • ・寝たきりになりやすい
  • ・死亡率が上がる

低栄養とは、小食や偏食などから気付かぬうちに栄養不足に陥りやすくなることをいいます。特に注意したいのが、 たんぱく質とエネルギーの不足です。高齢者がやせてきたなと感じたら医師に相談しましょう。

低栄養になる理由

食事を作らない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
家族のために食事をつくる必要がなくなる(主婦引退)
食べたくないから食べない(欠食)・・・
運動不足のためおなかがすかない
同じものを食べ続ける・・・・・・・・・・・・・・・
一つのおかずをたくさん作って食べ続ける
食事が細くなる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
嚥下障害などのために食事摂取量が減る

たんぱく質/エネルギー摂取の工夫をしよう

  • 献立の中に好きなものを一品入れる。
  • 献立に肉や魚、卵などのたんぱく源を入れる
  • まず、おかずから食べる
  • おやつで工夫(牛乳やプリン、ヨーグルトなど、たんぱく源)

楽しく食べよう「食べる楽しみ」

高齢になっても、食事の時間が楽しみ、
食事がおいしい、となるようにしたいものです。
いつまでも活動的で健康に暮らすために、
食べられる体制を整えて、
家族と一緒に楽しく食卓を囲みましょう。

食事が楽しくなる構図

食事の心配
がない

口腔ケア
が万全

好きなものが
食べられる

家族と共に
食べる

食事がおいしい
食事が楽しい

健康な体
体力

健康に
長生き

おいしく食べるための工夫

いつまでも家族と同じ食事を食べることが理想的ですが、高齢になると色々な機能が低下し、食生活にも様々な影響をおよぼします。可能な限り家族と同じメニューで、高齢者が食べやすい工夫をしてみましょう。大切なのは、現在の健康状態を考えながら、よりよい食事をよりよい形でおいしく食べることです。

食べやすい、飲み込みやすい食事の工夫

普通の食事が今までのように噛めなく
飲み込みにくくなっても、
できるだけ食べやすく
工夫して家族と同じ献立を楽しみましょう。
ただし、嚥下障害が疑われる時は
医師に相談しましょう。

ぱさぱさしたもの

  • あんをかけて飲み込みやすくする(焼き魚等)
  • 牛乳やお茶に浸す(パンやカステラ等)
  • 煮物にする(煮魚、煮込みハンバーグ)

固いもの

  • 煮物にして良く煮込む(野菜の煮物、牛肉や豚肉等のシチュー)
  • よく叩いて柔らかくする(とんかつ等)
  • 隠し包丁を入れる(ふろふき大根、たくあん、肉のソテーなど肉類は調理してから隠し包丁を)
  • 細かくしてからまとめる(海老フライ等の身を叩いて尾につけて形作り、フライ衣をつけて揚げる)

炒めもの、あげもの

  • 電子レンジで加熱してから調理する(野菜炒め、野菜の天ぷら)

汁気のあるもの

  • かたくり粉やとろみ調整食品でとろみをつける(味噌汁、スープ)

おいしく食べるには

食事は生命維持のためのものでもあり、
楽しみでもあるはずなのに、
高齢になるとなかなか
食欲がわかないということもあります。
なぜ食欲がないのか、それぞれの食の問題点や
原因などを考えてみましょう。

食欲不振の解決法

食欲不振の理由は個人個人によって
違います。
その原因を探って、
下記の方法を試みてください。

食べたくなるまで待つ・・・
無理をせず、運動をしたり、好きなことをやって、食べたくなるまで待つ
好きなものを食べる・・・・・・
好きなものは食べられる方が多いもの
食事のマンネリ化を打破・・
出前をとる、レストランへ行く、友人と会食、お弁当を持ってミニピクニック

自助具の利用

食事は自分で食べるのが一番。
いろいろな自助具を利用して、
自分で食べられるようにしましょう。

お箸
・バネで自然に物がつかめるようになっているもの
スプーン・フォーク
・握りがゴムになっているもの
・食べやすい方向に曲げられているもの
・柔らかい樹脂製のもの
・柄の部分が形状記憶で手にぴったりするもの
お茶碗・お皿
・底に滑り止めが付いているもの
・ふちがスプーン等ですくいやすい形状のもの
ランチョンマット
・食器が滑って転がらないような滑り止めマット

介護している方のために

365日、一日3回の食事作りは
介護する人にとってはかなりの負担です。
たまにはお昼等を簡単にすますこともお勧めです。

配食サービス

普通食や、普通食にほんのちょっと手を加えるだけで食べられる方向き。1週間に1~2度、一日何回、というように定期的に食事を作らない時を定めて利用する。

市販の介護食

固いものが食べにくくなり、食材の大きさや柔らかさに工夫が必要な方に。おかずを総て市販の介護食品にすることもできるが、おかずの1品だけを介護食品にする、というほうが利用しやすい。

簡単なものに

特にお昼ご飯を簡単にする方法。毎日3度の食事をきちんと摂っている方向き。例えば、カステラ、ミルクティー、バナナ、ヨーグルト等。

ユニバーサルデザインフード

ユニバーサルデザインフード(UDF)は、
固いものが食べにくい方や、
食事の大きさや柔らかさに
工夫が必要な方のために作られた加工食品で、
「かたさ」「粘度」に応じて
4段階の区分に分かれています。

ユニバーサルデザインフードの区分表

コラム

その他の栄養摂取の方法

経腸栄養という言葉を聞いたことはありますか。どうしても口から食事ができない、食事だけでは到底栄養が足りない、という時に利用する栄養摂取方法です。高カロリー、高たんぱくの濃厚流動食を管(チューブ)で胃まで送り込むので、経管栄養とも呼ばれています。

【 鼻腔経管栄養 】
鼻から管を胃まで入れて、濃厚流動食を流し込みます。常に食道に管が入ったままの状態なので、 口から食べることはほとんどできません。

【 胃瘻(いろう)】
お腹に穴を開けて胃に直接管を差し込んで、濃厚流動食を流し込む方法です。 お腹と胃に穴を開けるので、簡単な手術が必要です。口から食べ物を摂取することもできます。

食事はできるだけ、最後まで口から食事を摂ってほしいものです。医師と相談をして決めましょう。
※濃厚流動食(経腸栄養)にはいろいろな味がついており、飲むこともできます。

食事介助

高齢になって体力が落ちたり、病気のためにマヒ等が障害として残り、自分では食べることができなくなると、介助が必要になります。食事を介助する時は常に目線は同じ高さと覚えてください。

食事の姿勢と座り方

少し前屈みになるぐらいが飲み込みやすい姿勢です。
終日、ほとんどベッド上の方も、
食事の時は体を起こしましょう。
飲み込みがよくなるばかりでなく、
食事を見て楽しめる、
家族と顔を合わせて会話ができるなど、
生きる元気も楽しみも出てきます。

テーブルと椅子/車椅子を利用の方

テーブルと椅子/車椅子の食事姿勢 テーブルと椅子/車椅子の食事姿勢
  1. 少し前屈み
  2. 背は90度
  3. 足は床(フットステップ)にぴったり
  4. 体とテーブルの間に握りこぶし1つぐらいのすき間
  5. 椅子の座面の高さは膝が90度に曲がるくらい
  6. テーブルの高さは腕を乗せて肘が90度に曲がるくらい

リクライニング車椅子を利用の方

リクライニング車椅子の食事姿勢リクライニング車椅子の食事姿勢
  1. 背もたれは45~60度
  2. 首が後ろに反らないように頭にクッション
  3. 膝は90度
  4. 足はフットステップにぴったり

ベッド上の方

ベッド上の食事姿勢 ベッド上の食事姿勢
  1. 背もたれは45~60度
  2. 首が後ろに反らないように頭にクッション
  3. 腰はベッドの折れ目にきっちり
  4. 膝は軽く曲げた状態。
    ベッドの折れ目に合わせるか、膝下にクッション
  5. 足がずり下がらないように足の裏にぴったりクッション

上手な食事介助と飲み込ませ方

介助で気を付けなければならないのは、
介助で食事をするときも、
できるところは本人に、
できないところを手伝うという
介助の基本を忘れないでください。

横に座る
横に座って、目線は同じに。立ったり、正面からの食事の介助はしない。
※立っての介助は、高齢者が介助者を見上げるため、顎が上がってむせたり、誤嚥しやすくなる。
飲み込んだのを確認
次々食べ物を口に入れると、誤嚥の危険。嚥下障害がある場合は、
飲み込んだのを確認してから次の一口を食べさせる。
スプーン1杯の量
一度に口に入れる量はティースプーン1杯ぐらいの量がベスト。
箸やスプーンは
下から
食べ物を下から口へ持っていくと、自然に下を向き加減になるので、
上手に飲み込め、誤嚥の予防になる。
スプーンを口の
奥まで入れない
吐き気や誤嚥の危険。
食事に専念
テレビをつけていたり、口の中に食べ物が入っている時に
話し掛けたりすると、誤嚥の危険。
健側から
片マヒの方には、健側の口に食べ物を入れてあげる。

ゆったりとした時間と空間の中で、介助者も介助される人も余裕を持って、食事をおいしくいただきましょう。