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発酵デザイナー小倉ヒラクさんに聞く!第2回初心者におすすめ! 味噌づくり 発酵デザイナー小倉ヒラクさんに聞く!第2回初心者におすすめ! 味噌づくり

手づくり初回は、ヒラクさんも最初につくったという味噌づくりから。材料は、たったの3つ。だけど、知れば知るほど奥が深そうです。ではヒラクさん、よろしくお願いします!!

まずは材料から。乾燥大豆、麹、塩の3つが基本ですが、選び方や配合のバランスはありますか?

 お味噌の基本的な定義は「大豆と麹と塩を混ぜた固形調味料」。こう書くとシンプルなんですが、大豆や麹の種類、塩分のバランスによって味は千差万別。地域によって味の傾向も大きく変わります。
基本のレシピは乾燥丸大豆と米麹を1:1の割合で、塩は全体の12〜13%程度。例えば、乾燥丸大豆250g、米麹250g、塩120gで、約1kgの味噌ができます。米麹の量を1.5倍から2倍にすると、やや甘みの強い上品な味わいになります。米麹を麦麹に変えて大豆と麹の割合を1:1.5、塩を10%程度にすると、うまみと甘みの強い九州の麦味噌風になります。
ワンポイントアドバイスとしては、

  • ・減塩は基本しないように。腐敗のリスクが高まります。
  • ・麹の量を増やすと発酵が速くなり、甘みが増します。
  • ・黒大豆や青大豆でつくってもOK。味わいが顕著に変わります(ひよこ豆でもできます)。
  • ・塩はこだわりすぎないように。フランスの某有名海塩でやってみたらめちゃニガい味噌になりました。

まずは大豆を一晩浸水させて、やわらかくなるまでゆでます。ゆでるときのポイントはありますか?

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 大きなお鍋にたっぷり水を入れて3〜4時間ほどゆでていきます。どんどん水が減っていくので1時間に一回水を足してあげるといいかもしれません。親指と薬指でつまんで簡単に潰れるようになったらOKです。時間を短縮したい人は圧力鍋で。20〜25分程度でしっかりゆで上がります。大豆をザルにあげる前にゆで汁をカップ1杯取っておいてください。

温かいうちにゆでた大豆をつぶしたほうがいいと聞きますが、大豆をつぶすのは大変そうですね…

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 しっかりゆで上がっていれば、つぶすのはそんなに大変じゃないですよ! ボウルに入れてマッシャーでつぶすのが標準ですが、2kg以下なら手でつぶしていくのもいいかもしれません。ジッパー付き保存袋にゆでた大豆を入れて、封をした上から手でモミモミしていきます。つぶしきれなくて多少粒が残っても、それはそれで味の個性になるので神経質になりすぎなくてOK! 粒の残った味噌はお味噌汁にしたときに、若干の「具っぽさ」が出て悪くないですよ。

混ぜておいた塩と麹を、つぶした大豆に合わせて団子状に。このときのポイントを教えてください。

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 大豆と混ぜる前に、麹と塩をしっかり混ぜておきます。3つを一緒に混ぜると均一に混ざらないんですね。麹と塩がしっかり混ざったら、大豆と合わせていきます。このときはマッシャーよりも手で混ぜるのが断然おすすめ! 衛生が気になる人はゴム手袋をつけてもいいのですが、大豆や麹のつぶつぶ感をダイレクトに感じるために素手でやってみるのもどうでしょう。多少雑菌が入っても塩分でシャットアウトされるのでノープロブレム。ここで、先に取っておいたゆで汁を入れるとキレイに混ざります。

 しっかり混ざったら直径3〜5cm大のお団子をつくります。子どもと一緒に味噌を仕込むとき、このお団子づくりの瞬間がハイライト。お団子にする理由は次のステップで!

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容器に詰めて仕込み完了! 詰めるときに注意することは?

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 仕込みの最後のプロセスです。お団子を容器の底にバシッ!と投げ入れます。これはペーストの中から空気を抜くため。仕込んだペーストの中に酸素があると、雑菌が呼吸して臭くなってしまいます。投げつけたお団子が段になってきたらげんこつで丁寧につぶして、さらに空気を抜いていきます。最後に表面を平らにならし、表面に塩をすりこんでラップをかけ、酸素のある表面で雑菌が呼吸するのを防ぎます。酸素を逃して雑菌の働きをシャットアウト!と念仏のように唱えましょう。
 発酵している途中に、表面に呼吸する雑菌の白いモニャモニャが出てきてしまうことがあるのですが、その場合はスプーンで取り除いてください。毒はなく、中まで入り込めないので食べるのには問題ありません。

発酵期間は半年程度。ヒラクさんの楽しみ方は?

 標準の発酵期間は半年。なんですが、麹の量が多い場合や暑い時期に仕込んだ時は4ヶ月程度でお味噌になってしまいます。香りが甘酒のようなかぐわしい感じになり、大豆と米の粒が溶けてペースト状になったら食べられます。色は濃い目の飴色だとさっぱり目の白味噌(3〜4ヶ月)、茶色になると赤味噌(5〜6ヶ月)風に。熟成した味が好きな人は1年以上寝かせるのもオススメ。最大3年くらいまで、少しずつ味が変わってきます。冷蔵庫など温度の低い環境に置くと発酵が止まります。
 できあがったらまずはお味噌汁に! なんだか自分にフィットした味のように感じませんか? 一般的な市販のお味噌よりも味が強いので、漬け床にしてお肉や野菜、卵黄などを漬け込んでも楽しめますよ。

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教えてくれるのは この人! 小倉ヒラク 発酵デザイナー

小倉ヒラク発酵デザイナー「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、東京農業大学の醸造学科研究生として発酵を学びつつ、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作やワークショップをおこなっている。『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で、発酵学の講師も務めている。2015年より新作絵本『おうちでかんたんこうじづくり』とともに、「こうじづくり講座」を全国で展開中。