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発酵デザイナー小倉ヒラクさんに聞く! 第3回 流行りの味を自分で!甘酒づくり  発酵デザイナー小倉ヒラクさんに聞く! 第3回 流行りの味を自分で!甘酒づくり

今回は、美容と健康によいとウワサの、人気の甘酒です。市販のものもたくさんありますが、家でもつくることができるとは、うれしいです。ではヒラクさん、よろしくお願いします!!

甘酒って、麹から作るものと、酒粕から作るものがありますよね。ヒラクさんのお好みを教えてください。

 甘酒というと「お正月に神社で振る舞われるもの」というのがひと昔前のイメージ。これは酒粕をお湯と砂糖で煮込んだもので、比較的最近のレシピです。江戸時代以前は、砂糖を使わずに麹の甘みを味わうものが主流で、最近トレンドになっているのはこちらのレシピ。僕もふだん飲んでいるのは麹の甘酒です。
 麹の甘酒も、麹の製法で味が変わってきます。大きく分けて味噌屋の甘酒と酒屋の甘酒の2つに分かれます。うまみと甘みをバランスよく引き出す味噌屋の甘酒は、さっぱりした甘みと人懐っこい味わいが特徴。対してうまみよりも甘みを強く引き出した酒屋の甘酒は、濃厚な甘みが持ち味。冷やして飲むなら味噌屋の甘酒、寒い時期にゆっくり飲むなら酒屋の甘酒が僕の好みです。

一般的な材料は、米、麹、水です。選び方や配合のバランスはありますか?

 僕は麹と水だけでつくる超シンプルレシピが好きです。麹と水を1:1.5くらい(米麹200gだったら水300ml)で甘いお粥をつくって冷蔵庫にとっておき、飲みたいときにお湯や氷で割って飲むスタイルです(北陸や東北ではこれを「甘麹」と言ったりします)。
 僕は自分でつくった麹を甘酒にすることが多いので、自分の麹の出来をチェックするためにもお米を入れないのがいいんです。

甘酒づくりの写真1 甘酒づくりの写真1

混ぜたら、60℃以上を保ちながら約6時間発酵します。発酵にはどんな器具を使いますか?

甘酒づくりの写真2 甘酒づくりの写真2 甘酒づくりの写真3 甘酒づくりの写真3

 一定の温度で長時間保温できるヨーグルトメーカーがあると楽ちんなのですが、炊飯器でもできます。内釜に麹、お米、水を入れて保温モードをオン。本体とフタのあいだにタオルを挟み、少しだけ空気が通るようにし、この状態で6〜7時間置いておくと甘酒になります。炊飯器もない!という人は、魔法瓶でもできます。瓶内に70℃のお湯を張り、麹、お米、水を混ぜて入れたジッパー付き保存袋を(封をして)湯に浸します。魔法瓶のフタはきつく締め切らないで、緩めに締めて少しだけ空気が通るようにしましょう。

この過程で甘くなるのでしょうか? 砂糖が入っていないのに不思議です。

 温めるだけで甘くなるのは、麹菌がつくる「酵素」のおかげ。この酵素はハサミのような機能を持っていて、お米のでんぷんをチョキチョキ切って糖分(ブドウ糖)にするのです。イメージとしては「ビーズのネックレス」。ハサミでネックレスの紐を切ると、ビーズがバラバラに散らばります。ネックレスが「でんぷん」、ビーズが「糖分」です。人間の舌は細かい物質のほうが味を感じやすいので、大きなでんぷん(ネックレス)を舌に乗せても甘いと感じないのに、細かなブドウ糖(ビーズ)は甘いと感じるのです。面白いですね。

まずは、できたてを味わいたいですね。ほかの飲み方でおすすめありますか?

 夏なら氷で割るとアイス甘酒に。豆乳や牛乳と1:1で割ってもおいしい。ブドウジュースやパイナップルジュースで割ると、子どもでも飲みやすいジュースに。リンゴ酢など酢と甘酒1:4くらいで割っても◎

甘酒づくりの写真4 甘酒づくりの写真4

ほかの活用法を教えてください!

甘酒プリンの写真 甘酒プリンの写真

甘酒プリン

甘酒スムージーの写真 甘酒スムージーの写真

甘酒スムージー

 寒天を混ぜるとプリンになるし、生のフルーツや氷と一緒にミキサーにかけてスムージーにするのもお洒落。さらに高度な応用方法は、甘酒をベースにしてパン種をつくったり、漬け床にしたり(北陸のかぶら寿司のレシピ)、唐辛子やにんにくを混ぜてキムチの素にしたりと、甘酒の活用方法は無限大!

教えてくれるのは この人! 小倉ヒラク 発酵デザイナー

小倉ヒラク発酵デザイナー「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、東京農業大学の醸造学科研究生として発酵を学びつつ、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作やワークショップをおこなっている。『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で、発酵学の講師も務めている。2015年より新作絵本『おうちでかんたんこうじづくり』とともに、「こうじづくり講座」を全国で展開中。