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HEART&SMILE 輝くココロの秘訣

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今月のゲストは福西 崇史さん

今月のゲストは福西 崇史さん

撮影/高橋宏幸
取材・文/水野光博
編集/仲田舞衣

Profile

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福西 崇史(ふくにし たかし)
1976年、愛媛県出身。幼少期から器械体操を習い、小学4年生からサッカーを始める。1995年にジュビロ磐田に入団、その後の黄金期を支える一員に。日本代表としても活躍し、2度のワールドカップに出場。2009年に引退、解説者として活動を開始する。2018年、マンガ『キャプテン翼』の作者・高橋陽一が後援会会長を務める南葛SCで現役復帰を果たす。
 
【公式Instagram】
https://www.instagram.com/takashi_fukunishi/

サッカー日本代表として、2002年の日韓大会、2006年のドイツ大会と2度のワールドカップ出場経験を持つ福西崇史さん。現在はテレビ解説のみならずサッカースクールや講演会など活躍の場を広げ、さらに今夏、10年ぶりに現役復帰を決断。走り続ける42歳のココロとからだの健康法とは――?

――前半では、食事やトレーニング法など、自分の身体と対話しながらトライ&エラーを繰り返すことの大切さについてお話いただきました。そんな福西さんが、メンタル面で意識している健康法はありますか?

福西:シンプルですがストレスを溜めないこと。ただ、それは好きなことしかやらないということではなく、何事もバランスを大切にするということが、ストレスを溜めないために大事かなと思います。

――それは具体的にはどういうことですか?

photo1福西:僕の考え方なんですが、物事には全て光と影ではないですけど、それ自体はどんなに身体にいいことだとしても、メリットとデメリットがあると思っています。例えば、好きなものを好きなだけ食べるのは、その瞬間は幸せでしょうが、栄養が偏りますよね。筋トレなどは、やっている最中はキツイし苦しい。でも、それを乗り越え継続すれば成果が出る。何事も良いことばかりでも、悪いことばかりでもないというか。僕は幼少期に器械体操をやっていたこともあり、身体が柔らかいんです。柔軟性のおかげでケガをしにくかったり、関節の可動域が広くボールに届く範囲が広かったりするメリットがあります。ただ、世界的スター選手のリオネル・メッシは身体が硬いことで知られていますし、ワールドクラスの選手でも身体が硬い選手は多いんです。だから、一概に何が良ければ、サッカー選手にとって有利ということは言えないんです。

――まさに、どんなことにもメリットとデメリットがあるということですね。

福西:はい。僕は今、解説の仕事だけでなくサッカースクールや講演会、様々なイベントで、ありがたいことに全国各地に足を運ぶことも多いんです。久しぶりに家に帰ってきた時などは、お笑い番組やドラマを見たりしてボーッとしたり、特に何もせずにダラダラと過ごしたりもします。忙しいということをネガティブに捉えると気がつかないのですが、ポジティブに考えるなら、『普段は忙しいからこそ、このボーッとしている時間が至福だ』と思えます。常にダラダラしていたら、それは日常でしかないわけですから。なので、忙しい、忙しいとストレスを溜めてしまうよりも、心休まる時間を至福だと感じることができるのは、普段が忙しいからだと、できるだけポジティブに捉えたいと思っています。もちろん自分が完全にポジティブな人間かといえば、そうではないですし、かなりの気分屋なんですけどね(笑)。ただ、何事もバランスが大事なんだと思うようにはしています。

――“バランス”を大事にするのは、チームの舵取り役のボランチだった、福西さんらしい考えだなと感じます。

福西:チームが点を取ろうと前掛かりになっているときこそ、相手のカウンターをケアしたりするのが役目でしたからね。サッカーにも表裏一体な部分があって、攻めている時こそ守備を、守っている時こそ攻撃を意識しているという部分がありました。僕の元々の性格がそうだったからボランチに向いていたのか、ボランチというポジションを経験したからこういう性格や考え方になったかは、僕自身もわかりませんが。

――以前、福西さんは「技術だけなら自分は大した選手ではない」とも語っていたことがあります。ご自身のサッカー選手としての武器は何だと思いますか?

福西:強みがあるとしたら、“できないことを知っている”ということだと思います。僕は不器用なので、できないプレーも多い。チームメイトにいろんな面で助けてもらわなければいけない。自分が苦手とするプレーがわかっているので、「ここはこの選手に任せる。その代わりに、その選手にできないことで僕にできることは……」ということを常に考えていました。元々、同学年には中田英寿や宮本恒靖といった技術の高いスーパースターがいました。僕は彼らのように技術が高いわけでも、将来を期待された選手ではありませんでした。でもプロになりたかった。だからこそ、「プロの世界で生き抜くために何をしなければいけないか?」「どんな能力を身につけなければいけないか?」ということを考え抜かなかなればいけなかったんです。技術では彼らと勝負できないのは明白でしたからね。

――そもそも高校時代はフォワードだったんですよね?

福西:はい。プロになり監督に「ボランチをやってみないか?」と言われ、未経験のポジションをゼロから学びました。知識も経験も一切ないポジションだったので、いろんな選手のプレーを見て学びましたし、それでも分からなければ聞きに行きました。知らないことを恥ずかしがって聞かずにいたら、僕の競技人生はとっくに終わっていた。解説者になったタイミングも同じです。僕は多くの先輩に「解説者って、どうしたらいいですか?」という、質問にもなっていないような質問をし、基礎の基礎から教えてもらいました。知らないことは恥ずかしくない。知らないまま放置していくことのほうが、よっぽど怖いですから。

――でも、誰かにアドバイスを求めるのが苦手な人も多いのではないでしょうか。

福西:僕はもともとエリート選手じゃない。下手くそから始まっているので、先人の意見に素直に耳を傾けられるのかなと思います。僕が経験したことのないポジション、職業、それらを経験した人にしか分からないことがある。だから、子どもであれ誰であれ、僕が経験したことのないことを経験している人を僕はリスペクトします。

――たしかに経験者にしか分からないことってありますよね。

photo2福西:ただ、同時にだからこそ気をつけなければいけないこともある。時代や常識は常に変わり続けるということも忘れてはいけない。例えば、僕の学生時代は「上手くなりたいならサッカーのことだけ考えろ!」と言われ育ちました。僕自身、サッカー部が強いという理由で高校を選んでいます。でも、今の時代は違う。引退後のセカンドキャリアのためにも勉強はしっかりやっておくべきという考えが主流ですし、多くの選手を見てきた僕自身もそう思います。サッカーをしている中学生の次男が、まさに「サッカーだけに集中したい」と言うのですが、「たとえプロになれたとしても、後で苦しむのは自分だよ」と、勉強の大切さも伝えています。

――経験者であっても、時代に合わせアップデートしていくことが大切ですね。

福西:昔の常識は今の非常識だったりしますからね。僕が学生の頃は、田舎だったこともあるんでしょうが、メンタルトレーニングという言葉すら聞いたことはありませんでした。今では、どのチームも当たり前のように取り入れています。

――やはりメンタルトレーニングは大事ですか?

福西:もちろん。大事な場面で良いパフォーマンスを発揮するために不可欠だと思います。実際、今年開催されたロシアW杯でも、例えば日本代表の躍進は様々な理由があるでしょうが、やらなければいけない状況になり、どうするべきかみんなで考え、チームがひとつになった結果です。技術以上にメンタル面の強さがベスト16進出につながったと思います。反対に、大会前に強い強いと言われた王者のドイツは予選リーグで敗退しました。予選1試合目に負け、選手が「結果を残さなければいけない!」と、空回りしているのが見ていて分かりました。世界のトップレベルの選手ですら、メンタル次第で大きくパフォーマンスが変わってしまいます。

――なるほど。

福西:ただ、昨今メンタルトレーニングが重視され、根性論は時代遅れだという風潮ですが、僕は根性も大事だと考えます。メンタルだけでは勝てません。もう一歩も走れないとなった時に、あと一歩を踏み出すために必要なのは根性だったりもすると思うんです。最新の情報や常識を頭に入れておくことは大事ですが、前半でも言ったように、トライ&エラーを繰り返し、自分自身で大切なものを判断することこそ大事です。

――最後に、42歳になった今も目標を持って走り続けられる理由を教えてください。

photo3福西:僕はサッカーを通じて多くのことを学びました。今、思うことは強い日本サッカーであってほしい、日本サッカーが成長し続けてほしい、ということです。そして僕が、その成長に少しでも貢献できないか? ということがモチベーションのひとつになっています。だからこそ、僕の目標のひとつが監督をやることです。日本サッカーは確かに強くなっていますが、他の国はそれ以上のスピードで強くなっています。日々、様々な部分で刺激を受けることばかりです。それが、僕が走り続けられる理由なのかなと思います。

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