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睡眠のプロ 友野なお先生監修 良い睡眠のための生活習慣とは?

毎日の睡眠、しっかりとれていますか?
寝ているはずなのに元気が足りないと
感じるときは「良い睡眠」
不足しているときかもしれません。
栄養バランスのとれた食事や
運動習慣とあわせて、
良い睡眠で体も心も
健康に過ごしましょう。

起きたときのイメージ

今朝起きた時に
疲労感や眠気は
ありましたか?

吹き出し
睡眠コンサルタントの
友野なお先生に
睡眠について
教えていただきました!

友野なお先生

Nao Tomono
友野なお

睡眠コンサルタント /
株式会社SEA Trinity代表取締役
千葉大学大学院 医学薬学府
先進予防医学 医学博士課程
順天堂大学大学院
スポーツ健康科学研究科 修士
日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、
日本睡眠環境学会 正会員

自身が睡眠を改善した経験から科学的に睡眠を学んだのち、睡眠の専門家として全国にリバウンドしない快眠メソッドを伝授。著書に「眠れないあなたを救う睡眠ファースト」(主婦の友社)、「ぐっすり眠れる不思議な塗り絵」(西東社)、「ねこ先生クウとカイに教わるぐっすり睡眠法」(KADOKAWA)、「昼間のパフォーマンスを最大にする正しい眠り方」(WAVE出版)、「疲れがとれて朝シャキーンと起きる方法」(セブン&アイ出版)、「大人女子のための睡眠パーフェクトブック」(大和書房)、「やすみかたの教科書」(主婦の友社)など多数。書籍は韓国・台湾・中国全土でも翻訳され発売中。

Website SLEEP CULTURE:
http://tomononao.com/

Q1
良い睡眠って
どういうこと?

適切な時間が確保され熟睡感が得られているような「良い睡眠」は、身体と心の健康を維持、増進させると考えられます。
また、良い睡眠のために朝の6~7時に起床する場合であれば、23時~0時の間に就床し、夜から朝にかけて適切な時間まとめて眠る「主睡眠」を心がけ、照明、香り、温湿度、寝具などの環境づくりを整えることもポイントです。
日本には四季があるので、季節ごとの寝室や寝具の衣替えも意識してみましょう。

なお、良い睡眠がとれているかどうかの答えは日中にあります。もし日中にパフォーマンスや意欲、集中力などの低下を感じたり、感情をコントロールすることが難しく感じたり、過度の眠気を感じることがある場合には、夜の睡眠を見直すとよいかもしれません。

枕

Q2
睡眠時間は
どれくらいが
いいの?

アメリカ国立睡眠財団(NSF)が年代別に推奨している理想の睡眠時間は下記のとおりです。

年齢 理想の睡眠時間
0〜3ヶ月 14〜17時間
4〜11ヶ月 12〜15時間
1〜2歳 11〜14時間
3〜5歳 10〜13時間
6〜13歳 9〜11時間
14〜17歳 8〜10時間
18〜25歳 7〜9時間
26〜64歳 7〜9時間
65歳以上 7〜8時間

ただし、理想の睡眠時間には個人差があり、適切な睡眠時間は個人個人によって異なります。
まずは一般的に必要だと考えられている7時間の睡眠時間確保を目指し、日中の体調などをセルフ観察しながら自分に最も合った睡眠時間を見つけましょう。
朝の6〜7時に起床する場合は、23時〜0時の間に就床し7時間程度睡眠時間を確保するよう、心がけてください。

目覚まし時計

Q3
朝の目覚めを
良くする方法は?

朝シャキーンと起きられず、「なんとかベッドから出ても、その後もなかなかエンジンがかからない」というお悩みはよく耳にします。
寝ている間は体の余分な熱を放出しているので体温が下がっている状態です。朝にかけて人の体は目覚める準備として体温が上昇するのですが、冷え性などが原因で、目覚めのときに十分に体温が上がらない人もいると思います。

体を起こすコツは体温を上げること。布団の中で軽くストレッチをする、おめざを食べるなども良いですが、目覚めにはシャワーがおすすめです。 シャワー後にミントやレモンのような爽やかな香りのボディクリームを塗れば、さらにスッキリとした気分につながるのでおすすめです。
朝にシャワーを浴びる時間のない方は、せめて洗顔や歯磨きを丁寧に行いましょう。リズミカルな動きが日中の意欲的な活動を後押ししてくれます。
なんとなくぼーっとしたままダラダラと身支度をしてテンション低く行動を開始する・・・そんな「だる重」な1日のスタートを、朝シャワーなどの工夫で爽やかな気分で始まる1日に変えていきましょう。

目覚まし時計

Q4
お昼に眠いときは
寝ても良いの?

「昼寝」=「怠けている」という印象が潜在意識にすり込まれがちな日本では、お昼寝の習慣はなかなか浸透しないのですが、アメリカでは「パワーナップ」と呼ばれ、ビジネススキルとしてエグゼクティブたちにも積極的に取り入れられているそうです。

日本では「サボリ」「無生産」など、お昼寝に対するネガティブな印象をもつ人がマジョリティで、それ故に、襲ってくる眠気と戦ってなんとか必死に気合で乗り切ろうと、ガムを噛んだり、冷風に当たったり、タバコを吸ったりして睡魔と奮闘している方も多いと思います。しかし、これらの行いには眠気を減らす効果はあるものの一時的なものです。

「人目が気になってお昼寝など出来ない」というご意見をよく耳にしますが、昼寝はむしろ自身の健康資産を高めるために積極的にとるべき習慣と言えます。

ただし、昼寝は15時までを目安に、20分~30分程度とるのがおすすめです。15時以降にとってしまうと、その日の夜間の主睡眠に悪影響が出てしまいますし、長い昼寝は目覚め感を悪くすることが指摘されていることが理由です。 昼休みになんとなくスマートフォンをいじっていたり、ネットサーフィンしていたりして時間を過ごしていませんか?この時間に潔く先行投資でお昼寝をとることで、健康レベルを上げることが期待できます。

アイマスク

Q5
休みの日に
長く寝ても良いの?

月曜日の朝、だるさを感じたり会社に行く意欲がわかなかったりすることありませんか?実は週末の過ごし方に原因が潜んでいるのです。
・休みの日に寝だめをする。
・休みの日は外に出ず、日光を浴びないまま家でゴロゴロしたりゲームをしたりして過ごす。
・週末は夜型生活になりがちになる。
上記に思い当たる方は、「社会的時差ボケ」の可能性があると思われます。

海外に行くと「時差ボケ」の症状に悩まされる方も多いと思いますが、実は日本にいて普段の生活をしていながら体内時計の時間がずれることで「時差ボケ」になってしまう状態のことを「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」と言います。

平日の睡眠時間が短く、それを補おうと休日にたっぷり眠る、いわゆる「寝だめ」をしている人は、逆に夜の睡眠を妨げてしまい、休日明けの日中の眠気や疲労につながる可能性があることに注意が必要です。

「ベッドに入って1秒もたたずに眠れる」とか「どこでも場所を選ばずに眠れる」ということは必ずしもポジティブなこととは限りません。こういった状態は睡眠不足の裏返しの可能性もあり、日頃から適正な睡眠時間が確保できていないことが考えられるため決して自慢できることではないでしょう。

社会的時差ボケを防ぐ
ポイント

・休日の寝坊は平日のプラス2時間までに留める。
・日中はなるべく光を浴びて過ごす。
平日6時起きの人は遅くても8時には起床しましょう。平日の疲れをとるために休日は遅くまで寝ていたいという場合、体内時計のずれが大きくならないように、平日の起床時刻との差を2時間以内にしましょう。

また、起床後目の中に光が入ってから約15~16時間後に眠気が訪れるメカニズムが働くため、遅い起床はどんどん眠気が訪れるタイミングを後ろ倒しにし、夜更かしリズムを作り上げてしまいます。
たった2日間起床時間を3時間遅らせる夜型生活を送っただけで、睡眠リズムは45分も後ろにずれてしまうともいわれているのです。

どんなに日曜日の就寝時刻が遅くても、月曜日に起床しなくてはいけない時刻は決まっているので、必然的に究極の睡眠不足状態が作り上げられてしまいます。どうしてもプラス2時間では起きられないという人は、平日の起床時刻からプラス1~2時間程度の時間に一旦起きて、太陽の光を目に入れて朝食を食べることがポイント。その後、のんびり過ごすなどして軽く昼寝をとるようにすると良いでしょう。

また、日中に光を浴びて活動することも大切です。1日中カーテンを締め切って生活をしていると光を浴びることなく1日が過ぎていくので、昼と夜のメリハリはつかず、夜の快眠が遠のいてしまうでしょう。休日に1日中ゴロゴロしているよりも、日中は起きて光を浴びて過ごしている人のほうが夜の快眠が得られやすいとされ、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質) も維持されるでしょう。

週末の過ごし方が1週間を左右するとも言えます。起床時間や日中の過ごし方に気を配ることで、週末に疲れを「溜める」習慣から「解消する」習慣へ変えていきましょう。

出典元
・厚生労働省健康局 健康づくりのための睡眠指針2014
・厚生労働省健康局 健康づくりのための睡眠指針検討会報告書(2003)
・厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト “e-ラーニングで学ぶ 15分でわかる働く人の睡眠と健康”https://kokoro.mhlw.go.jp/e_sleep/data/e-learning.pdf
・アメリカ国立睡眠財団HP “How Much Sleep Do We Really Need?”https://www.sleepfoundation.org/how-sleep-works/how-much-sleep-do-we-really-need
・山寺 博史, 睡眠障害のトピックス:睡眠・覚醒のリズム障害について, J Nippon Med Sch, 2001, 68(4), p344-348.
・内山 真・降籏 隆二, ヒトの体温調節と睡眠, 日温気物医誌, 2014, 第78巻, 1号, p6-9.
・岡部 英雄, 健康長寿と睡眠について, 予防医学, 2019, 第60号, p51-56.
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「良い睡眠」をつくる
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友野先生コメント

「はい」が多ければ多いほど良い眠りへとつながります。「いいえ」が多かった方は、1つずつでも「はい」に変えていけけるように睡眠習慣の改善を試みてくださいね。

良い睡眠を得ることで、心と体の健康へとつながるでしょう。
ぜひ、毎日良い睡眠を手に入れてくださいね。