水がない時の口腔ケアと災害時の食生活

2024.8.30

水がない時の口腔ケアと災害時の食生活

高齢者の肺炎を防ぐためには、口腔ケアが大切だということをご存じでしょうか?1995年の阪神・淡路大震災では、肺炎が災害関連死の4分の1に及んでおり、それ以降、災害時の口腔ケアが重視されるようになりました。また、高齢者は食事の際に誤嚥性肺炎になることも。災害時に水がない時の口腔ケアと災害時の食生活について考えてみましょう。

高齢者にとっての口腔ケアの重要性(誤嚥性肺炎予防)

災害時は、情報収集や家族との連絡手段の確保、けがの手当て、常備薬の確保などに必死で、歯みがきをつい後回しにしてしまうと思いませんか?1995年の阪神・淡路大震災でも、2024年に発生した能登半島地震の際にも、口腔ケアはやはり後回しになったといいます。被災して避難生活を送ると、特に体力のない高齢者は、身体機能が著しく落ちます。身体機能が弱ると、ストレスにより、口腔の機能も弱ります。その結果、口腔内をきれいに保つ役割があるだ液も出にくくなり、避難所では、口腔の不衛生さから、誤嚥性肺炎にかかる人が多くいます。ついつい後回しになってしまう口腔ケアですが、口腔ケアは高齢者の命にかかわる大切な問題です。

誤嚥性肺炎とは?​

水がない時に使用できる
口腔ケア製品

災害時に十分な水を確保できればよいのですが、環境によっては、それが難しいこともあり得ます。水がない時の口腔ケアはいったいどうしたらよいのでしょう。そんな時は、ハンカチで歯をぬぐう、口腔ケア用ウエットティシュを使う、液体歯みがきを使うなどしましょう。入れ歯をしている高齢者もいます。そんな方は、入れ歯洗浄剤で入れ歯のお手入れができるよう、口腔ケアアイテムは準備しておきましょう。

水がない時に使用できる口腔ケア製品

災害時の食生活のポイント
(低栄養を防ぐ)

政府が推奨している、在宅避難時の食料備蓄の目安量は1週間分です。在宅避難であれば、1~3日目までは冷蔵庫・冷凍庫の食材を。クーラーボックスに保冷剤を入れて、保管するのもお勧めです。4~7日目はローリングストック法で備蓄した食材を食べましょう。高齢者でも食べやすいかたさの、おかゆやレトルト食品を備蓄しておくとよいでしょう。
避難所で生活する場合も同様に、高齢者が食べやすいかたさの食べ慣れた食品を準備しておくと、ストレスや低栄養の予防につながります。低栄養で怖いのは、避難生活のストレスや身体機能の低下により、感染症にかかりやすくなったり、肺炎を引き起こしやすくなったりすることにあります。避難所生活は環境も変わり、大きなストレスがかかります。保管期限の長い好みのレトルト食品やフリーズドライ食品などもストックしておくとストレス低減につながります。

災害時の食生活のポイント(低栄養を防ぐ)

低栄養って?

災害時の食生活のポイント(低栄養を防ぐ)

食事の大切さ

食事には2つの役割が備わっています。1つは健康を維持・増進し、疾病の予防・治療に必要な栄養素を摂取するという栄養学的側面です。 もう1つはおいしく食べることで心の豊かさや満足感を得るとともに、ストレス低減に役立つことです。災害時こそ、食事をきちんととることがQOL(=生活の質)の向上にもつながります。

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アサヒグループ食品では、災害時にもおいしく食べることができる高齢者向けの介護食を多数ご用意しています。容易にかめる・歯ぐきでつぶせる・舌でつぶせる・かまなくてよいなど、かたさも選ぶことができたり、温め不要で食べることができるメニューも多くあり、災害時の備蓄品としてもぴったりです。

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アサヒの介護食

記事監修

記事監修/永田宏和(ながたひろかず)

1993年大阪大学大学院修了。2005年、楽しく防災の知識や技が学べる新しい形の防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」を開発後、NPO法人プラス・アーツを設立、理事長に就任。現在、全国各地及び、アジア、中南米を中心に世界23カ国での防災教育普及に取り組む。東京メトロ、JT、無印良品、NHKなど企業・メディアの防災アドバイザーも数多く務める。

【参考文献】
・防災イツモマニュアル(ポプラ社・NPO法人プラス・アーツ監修)
・【保存版】新しい防災のきほん事典(朝日新聞出版・永田宏和、石井美恵子監修)

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