介護事業のあゆみ

2024.12.26

アサヒグループ食品の介護食品・介護用品の歴史

1995年、未曾有の大災害となった阪神・淡路大震災。その混乱の中で、被災した高齢者の方々に支援物資のベビーフードがお役に立ったということがありました。この出来事が、アサヒグループ食品(旧和光堂)の介護食開発の原点だったことをご存知でしょうか? ベビーフードのノウハウを活かし、"食べる喜び"を届けたいという想いから始まった取り組みは、今では「バランス献立」などのブランドを展開し、多くの高齢者の方の生活を支えています。本稿では、アサヒグループ食品の介護食開発の歴史と共に、あの震災からどのようにして現在の商品ラインアップが生まれたのかをご紹介します。

アサヒグループ食品の介護食の始まりについて

アサヒグループ食品の介護食開発は、1995年の阪神・淡路大震災がきっかけでした。被災地支援で送ったベビーフードが高齢者に好評だったという看護師からの声を受け、開発をスタートしました。2001年、ベビーフード製造で培った技術を活かし「食事は楽し」シリーズを発売しました(旧和光堂) 。具材をやわらかく仕上げる加工技術や、食べやすい素材の加工、とろみ付けなど、ベビーフード開発で培った技術を介護食に応用しています。

アサヒグループ食品の介護食の始まりについて

介護ケアサポート

アサヒグループ食品では、介護者とそのご家族に向けて、介護食や介助のノウハウなど、介護のコツをご紹介する冊子「ホームケアカタログ」を発行しています。WEBサイトでは、高齢者の身体的・機能的変化や、食事の介助で必要な知識など、家庭での介護に役立つ幅広い情報を発信しています。
また販売店の店舗スタッフ向けに、高齢者の方の「食」に関する勉強会を開催しています。店舗スタッフの方々は、地域の高齢者の方やそのご家族に対し、さまざまな情報を発信する役割を担っています。幅広い情報を正しく提供することで、各地域の介護に関わる方々のサポートにつなげています。

介護ケアサポート:写真

口腔アセスメント「日本語版OHAT」(Dr.JM Chalmersら作成、東京科学大学・松尾浩一郎教授和訳)の普及活動として、医療・介護専門職向けのポケットシートや動画を制作しました。口腔ケア領域における課題解決をサポートしています。

介護ケアサポート:図

日本語版OHAT

現在のラインアップ

アサヒグループ食品は、「“食べる”をずっと楽しく。」という理念のもと、誰もがいつまでも楽しく食事ができるよう、様々な商品を提案しています。シニアの方々に向けた商品は、2017年9月に「食事は楽し」ブランドから「バランス献立」ブランドへとリニューアルしました。これは、介護する方が食事の準備において「食材や栄養のバランス」を気にしている点に着目し、手軽にバランスの良い食事作りをサポートし、毎日の食卓をより豊かにすることを目指したものです。

介護食

【バランス献立やわらか食シリーズについて】

【バランス献立】

ユニバーサルデザインフードの規格(「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4区分)に準拠したレトルトパウチ商品を幅広く展開し、バランスの良い食事作りをサポートします。
主食、おかず合わせて39品目(2024年12月時点)をラインアップし、使用食材や栄養成分をパッケージに分かりやすく表示することで、不足しがちな栄養素を補いやすい設計となっています。
また、食べ物や飲み物に混ぜるだけで簡単に適度なとろみを付けられるとろみ調整用食品も展開しています。とろみを付けることで、誤嚥を防ぎ、スムーズな飲み込みをサポートします。ダマになりにくく、味も変わらないので、様々な料理や飲み物にご利用いただけます。

バランス献立はこちら

口腔ケア

【オーラルプラス】

【オーラルプラス】

デリケートなお口をやさしくケアする口腔ケアシリーズです。清潔で健やかな口内環境づくりをサポートし、介護が必要な方や病気などで口や舌が自由に動かせない方の口腔ケアを容易にします。食べかすや痰などが溜まりやすい状況でも、歯みがきだけでなく、お口みがきや保湿ケアをプラスすることで、口腔内を清潔に保つことができます。

オーラルプラスはこちら

介護食・介護用品のあゆみ

年表
1995年(平成7年) 【介護食開発のきっかけ】
阪神・淡路大震災時、支援物資として被災地へ送ったベビーフードが高齢者に好評だったとの看護師からの報告を受け、和光堂株式会社(現:アサヒグループ食品株式会社)にて介護食の開発をスタート。
  • 【介護食開発のきっかけ】
2000年(平成12年) ・高齢化の進展、核家族化の進行、介護する家族の高齢化などを背景に、高齢者介護を社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が始まる。
・日本缶詰協会を中心に介護食品メーカー6社による「介護食協議会設立ワーキンググループ」が発足。安全衛生、食品の物性・機能性などの自主規格検討を開始。和光堂は当初から参画。(のちの日本介護食品協議会)
2001年(平成13年) 和光堂が長年のベビーフード製造で培ったノウハウを活かし、管理栄養士の方にアドバイスをいただき介護食市場へ参入。「食事は楽し」シリーズのカップタイプ6品を発売。
  • 【市場参入と商品展開】
2002年(平成14年) ・高齢者向けケア商品として『口中清浄ティシュ』『シッカロールデオ』を発売。
  • 【事業拡大と業界の発展】
・「介護食協議会設立ワーキンググループ」が36社の参加を得て、正式に「日本介護食品協議会」として発足。
2003年(平成15年) ・「食事は楽し」シリーズから『とろみ食の素』を発売。飲み物や料理に溶かすだけで風味を損なわず、手軽にとろみをつけられる調整食品。
  • 【製品ラインナップの拡充期】
・日本介護食品協議会が介護食品の自主規格「ユニバーサルデザインフード」を制定。
2007年(平成19年) 「食事は楽し」シリーズを全面的にリニューアル。従来のカップタイプからお客様が手に取りやすいパウチタイプへ変更し、高齢者に不足しがちなたんぱく質、ビタミンB1、食物繊維を強化し、家庭では手間のかかるメニューを手軽に提供できる商品として発売。
  • 【商品改良とパッケージ革新】
2008年(平成20年) ・低栄養対策商品「プロテインパウダー」発売
・たんぱく質の重要性が広く認識される以前からシニア向け商品を発売。
  • 【栄養サポート食品の展開】
2010年(平成22年) ・介護向け口腔ケア用品を「オーラルプラス」シリーズとして新たに展開。要介護者の口腔環境や介護シーンに配慮した使いやすい設計と手頃な価格帯を実現し、口腔ケアのトータルサポートを目指した。既存のアイテムも同ブランドに統一しラインアップを強化。
  • 【口腔ケア製品の統合と発展】1
・とろみ調整食品を刷新し「とろみエール」として発売。従来の小分けスティックに加え、新たに容量の大きいチャック付袋もラインアップに加え、用途に合わせて選べる商品展開とした。
※(2018年に特別用途食品に「とろみ調整用食品」が新設され、「とろみ調整用食品」として特別用途食品の許可を受けています。)
  • 【口腔ケア製品の統合と発展】2
2012年(平成24年) 濃厚流動食「飲む栄養プラス」シリーズ3品を発売。加齢により食べる力や飲み込む力が低下し食欲がわかない方、食事量減少、栄養の偏りがある方向けに開発した手軽な栄養補給食品。
  • 【栄養補給製品の充実】
2015年(平成27年) 栄養補給用の粉末飲料「カフェオレ」「ミルクココア」を発売。たんぱく質、カルシウムを豊富に配合し、11種類のビタミンも配合した飲みやすい商品。
  • 【飲料製品の展開】
2017年(平成29年) ・「食事は楽し(やわらか食)」シリーズを全面刷新し、新ブランド「バランス献立」として33品目を展開開始。1万人規模のサンプリングや社内栄養士による店頭試食会を実施して新ブランドの普及を図る。
  • 【ブランド統合と製品拡充】
・「オーラルプラス」シリーズからお口の乾燥が気になる時に、なめてうるおいが広がる『うるおいキャンディ』を発売。
  • 【ブランド統合と製品拡充】5
2018年(平成30年) 商品体系を整理し、とろみ調整用食品は「バランス献立」、栄養サポート食品は「バランス献立PLUS」として統一。
  • 【ブランド体系の確立】
2023年(令和5年) 喉詰まりやべたつきの不安などでおもちが食べられない方や、高齢になってもおもちを楽しみたい方に向けて、“食の楽しみ”をもっと感じてもらえるよう「スプーンで食べるおもち」を発売。
  • 【新商品】

*2015年7月アサヒグループ食品㈱設立。
2017年7月にアサヒフードアンドヘルスケア㈱、和光堂㈱、天野実業㈱3社の製造部門を吸収合併し完全統合。

*現在終売している商品も掲載しております。

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