高齢者に起こりやすい「誤嚥(ごえん)」をご存じでしょうか。「誤嚥」とは、飲み込んだ食べ物や水分が誤って気管に入ってしまうことをいい、誤嚥性肺炎を引き起こす原因となるものです。この記事では高齢者の誤嚥の原因と、予防のための食事の姿勢や介助の方法についてご説明します。
高齢者の食事時に気を付けたい「誤嚥」
食べ物やだ液などが、誤って気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)。
高齢になると、歯が弱くなったり、噛む力や飲み込む力が低下したり、だ液が出にくくなるなど「食べる力」そのものが衰えてきます。そのため、食べ物を飲み込みやすい形まで噛み砕けず、上手に飲み込めなくなることで誤嚥しやすくなります。
通常では食べ物を誤嚥しても気管に入る前にむせることで外に出すことができますが、むせる力が衰えた高齢者の場合、吐き出せずにそのまま炎症を起こして肺炎となることがあります。
高齢者の誤嚥予防には、食べ物や飲み物の工夫だけでなく、食事の姿勢や介助の方法を適切に行うことも大切です。
状態に応じた食事姿勢のポイント
食事中食べ物が気管に入ることを防ぐために、まずは顔や口の角度に注意しましょう。あごが上がらない程度に少し前かがみになるくらいが安全に飲み込みやすい姿勢です。
以下の図は体の状態や食事の場所ごとに適した姿勢のポイントを示したものです。
<いすや車いす上での食べる姿勢>
<リクライニング車いす上での食べる姿勢>
<ベッド上での食べる姿勢>
食事を介助する際の注意点
食事を介助する場合は、自力で食べられる方からベッド上での介助が必要な方まで、ご本人の自立度や食べる力に合わせた誤嚥予防を意識することが大切です。
自力で食べられる方に対しては、正しい姿勢が取れるいすや使いやすい食器やカトラリーを選ぶといったサポートを、食事介助が必要な方の場合は姿勢の確認に加えご本人の噛む力や飲み込む力に合わせた対応をしていきましょう。
次に、食事を介助するときのポイントをお伝えします。
★食事介助のポイント
- 介助する人は横に座って目線の高さをそろえ、本人の顔の下方から片麻痺がある場合は麻痺のない方から口に運ぶようにします。
- 介助を行う時は「次は〇〇だよ」「少し冷たいよ」など適度に声をかけることでご本人に安心感を与えることができます。
- 一度に口に入れる量はティースプーン1杯くらいが
無理なく飲み込みやすい量です。
- スプーンを口の奥まで入れると吐き気や誤嚥の危険があるので注意しましょう。
- しっかり飲み込めているか確認してから、次のものを口に運ぶようにしましょう。
- テレビや会話に気を取られ誤嚥しないよう、食事に専念できる環境づくりも大切です 。
一人ひとりにあわせた「食べる楽しみ」を
一人ひとりの食べる力によって、食事の形態、姿勢で気を付けるポイントや介助方法は異なり、状態によっても変化していきます。ご本人の今の状態をよく確認していただき、まずは「食事の楽しみ」に寄り添いながら、安全に食べられるようサポートしていただけたらと思います。
元気な人も介護が必要になった人も、いつまでも口から食べる喜びを感じ、健康に過ごしていただくためにお役に立てれば幸いです。
【ケアマネジャーから介護をされている方へのアドバイス】
正しい姿勢を保ちながら適切な方法で食事介助を行うことは、誤嚥のリスクを減らす上で非常に効果的です。食事介助の時間をご本人と介護者の方がコミュニケーションを取る大切な時間と捉え、共に食事の楽しみを感じられるようサポートをしていきましょう。

記事監修/ケアマネジャー ヒトケア
独立型の居宅介護支援事業所にて一人ケアマネをしています。2012年からケアマネジャーとして活動を始め、2015年独立開業。これまでの11年以上にわたる経験から得た仕事術や居宅介護支援事業所の立ち上げに関するノウハウ等を発信中。
